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この制度のおかげで、4万人の女性が受給し、年間5億5000万ユーロ(605億円)が支出されている。
これでギリシャは、自らを「資本主義国」だといっているらしいが、どこから見ても、中身は立派な社会主義国ではないか。
優雅な年金生活を背景に、ギリシャ国民はさっさとリタイアして、嘗てソクラテスやプラトンがしたように、酒を酌み交わしながら哲学談義に花を咲かせるのであろうか。
ドイツ、フランスをはじめ、ほかのユーロ国民には垂誕であろう。
「せめてなりたやギリシャ人」という戯れ歌が聞こえてきそうだ。
もちろん、国家としてきちんと成り立っていればだれも文句はいわない。
だが、この高待遇、高サービス、高福祉を叶える財源がどうなっているかといえば、肝心の税収がきわめていい加減ときている。
たとえば、日本ならタクシーでもその都度レシートを発行するが、ギリシャでは運転手に何度お願いしても発行してくれない。
まして小売店ならなおさらである。
つまり、商品やサービスをこんなギリシャだが、2010年4〜5月には、200億ユーロ(2兆2000億円)もの国債を償還しなければならなかった。
もちろん償還などできるわけがない。
ユーロ圏が支えなければならないのである。
いつまでユーロ自体がもつかどうか不明だけれども、ユーロ圏が維持されるかぎり、ギリシャを破綻させるわけにはいかないのだろう。
ユーロ圏の共同体意識というような美しい話ではなく、共倒れになりたくないという現実的問題が厳として横たわっているからだ。
ギリシャのみならず、スペイン、イタリアも経常赤字国の常連である。
もしユーロに加盟しても、名目だけだ。
こんな国がこの世にあったとは道理で破綻まっしぐらなはずである。
売っても税金を納めようとしないのだ。
脱税が一般的であり、納税は例外という国家なのである。
付加価値税という言葉はあるけれど、各々旧通貨のドラクマ、ペソ、リラが外為市場で売り浴びせられ、それぞれに輸入インフレが生じていただろう。
ユーロの傘の下にいるかぎり、そんな心配はない。
だから、危機感がなかった。
ギリシャはギリシャで、資金運用で外貨を稼ぎ、フランスとドイツの優れた製品・商品を買いまくった。
ほかのPIIGS(ポルトガル、イタリア、アイルランド、スペイン)にしても、消費をどんどん拡大し、結果として、貿易赤字を積み上げた。
危機感がなかったのは、ドイツもフランスも同じである。
ユーロ通貨統一の恩恵を最大に享受したのはドイツで、為替リスクなしにユーロ圏全域に輸出を拡大できるから、ギリシャにも売りまくった。
おかげで膨大な貿易黒字を積み上げた。
フランスにしても、ドイツほどではないけれども、PIIGSとの貿易で儲け、その資金をドイツ以上に高利回りのPIIGS債に投資した。
どんどん自国の製品を売り込み、どんどんPIIGSの国債を購入する。
世界経済が安定成長を続けている間は、なんの不都合もなかった。
だがリーマンショック以降、世界同時不況の津波がヨーロッパを襲うとなれば、話はちがってくる。
ューロの矛盾が一斉に噴き出したのである。
ユーロ圏13ヵ国は2008〜10年にかけて、財政赤字(GDP比)を2パーセントから6.3パーセントへと3倍も増やしている。
ギリシャ17・5パーセント、アイルランド14・3パーセント、スペイン10・2パーセント、ポルトガル9.4パーセントと、とりわけPIIGSの悪化も、スペインの規模はギリシャの5倍、ポルトガルの7倍と群を抜いている。
GDPが大きいだけに、ギリシャよりもスペインのほうが、危機が現実となった場合、世界経済への悪影響は甚大なものになろう。
アメリカは累積財政赤字を、ドル紙幣を刷れば返済できるが、ユーロ加盟国は独自の判断では為替切り下げも紙幣増発もできない。
できることといえば、年金や賃金を引き下げたり、支払いを中止、延期したりすることだけだ。
もちろん、国民は大反対だろう。
事実、ギリシャではストライキが続発し、大混乱に陥った。
ユーロでは、ギリシャ救済をとくに強く求められたドイツが、「怠け者を救済するために、どうしてドイツ国民の税金を使わなければならないのか?」という正論を吐いた。
このメルケル首ギリシャは「実験動物扱い」と強く反発したが、結果、これらの基金も"焼け石に水"になるのではなかろうか。
というのも、これだけの資金が供出されたとしても、ギリシャ一国の救済ですべて消えてなくなるからだ。
なんの危機対策、セーフティネットにもなっていない。
抜本17な解決法があるとすれば、ユーロという統一通貨制度からギリシャを切り離す害」扱いである。
相の発言はドイツ国内では喝采を浴びたが、世界からは怒りと失笑を買うばかりであった。
「ユーロ統合でいちばん儲けたのはドイツではないか」強硬論を振り回すだけでいたずらに時間を浪費したおかげで、問題解決に乗り出すタイミングを逸してしまった。
数ヵ月を費やして、ようやく12ヵ国の首脳がギリシャ支援に正式合意したのは2010年5月7日のことである。
ギリシャ支援と同時に、ユーロ圏の危機対策コストとして最大5000億ユーロ(弱兆円)の基金創設(「欧州安定化メカニズム」)だけでは心許ないので、IMF(国際通貨基金)による最大2500億ユーロ(即兆5000億円)の資金支援もとりつけた。
総額7500億ユーロ(腿兆5000億円)である。
これらはリスボン条約(EU基本条約の修正条約)に基づく財政出動であり、中身は「自然災いずれにしても、これ以上ギリシャをサポート)ところで、不良債権が膨らむばかりではなかろうか。
ユーロそのものが紙くずになるか、それともギリシャの旧通貨ドラクマの暴落を傍観するか。
2つに1つ。
ユーロが生き残る道は後者しかないのではないかとわたしは思う。
市場は待ってくれない。
ソブリンリスクは、もうそこまで迫っているのである。
レイオフとは、文字通り、「いったん切り離す」ということにほかならない。
ユーロを離れて旧通貨ドラクマに戻し、自国通貨を思いっきり減価して、オリーブなどの輸出や観光資源をフル活用しつつ外貨を稼ぐしかない。
事実、1990年代初めに経済危機に見舞われた国々、たとえば、イギリスや北欧諸国、タイ、韓国、インドネシアは、通貨安による輸出競争力の強化外需拡大で乗り切ったのである。
あるいは、かつてのメキシコやアルゼンチン型の債務リストラ策、すなわち、ギリシャ国債を額面以下の価格で新国債と切り替えて、債務負担を軽減する方法も考えられる。
かなり強引な方法であるが、ギリシャにできないことはない。
この間、ギリシャ国債を大量に購入しているフランスやドイツの金融機関は、莫大な損失を被もちろん彼らは、PllGSの財政が危ないことなど先刻承知である。
何世紀という時間単位のつきあいだから国民性も政治経済の実態も周知している。
幸い、格付け会社はギリシャ国債を「Aマイナス」に据え置いたままだった。
世界同時不況で三皐気が悪化する中、金融機関は少しでも利益を得ようと、利回りの高いPIIGSの国債にマネーを振り向けるのになんら嬬踏することはなかっただろう。
ソブリンリスクの本質は、PIIGS、STUPID、DEBT、SICKに属する1つひとつの国が抱える財政赤字ではない。
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